卵巣腫瘍/卵巣嚢腫(手術・症状)

卵巣腫瘍(しゅよう)と卵巣嚢腫(のうしゅ)

卵巣は、女性のからだのなかで一番腫瘍が発生しやすい臓器です。
なぜなら、排卵のたびに傷がつき、それを修復する、という過程をくり返しているからです。

したがって、卵巣に腫瘍ができること自体、特別のことではありません。

卵巣にできる腫瘍は、「嚢胞(のうほう)性腫瘍」と「充実性腫瘍」の2つのタイプに分けられます。
このうち、「嚢胞性腫瘍」のことを卵巣嚢腫と呼びます。

卵巣嚢腫は、卵巣にできる腫瘍の9割を占め、そのほとんどが良性のものです。

卵巣嚢腫は、さらに3つに分類されます。
1)ゼリー状の粘ついた液体でできる偽ムチン嚢腫
2)サラサラした液体の漿液(しょうえき)性嚢腫
3)脂肪に毛髪・骨・筋肉などを含んだ類皮様嚢腫
の3つ。

いずれも、ほとんどが良性なのですが、
漿液性嚢腫と類皮様嚢腫は、まれに悪性となる場合があります。

2分類のもう一方、「充実性腫瘍」は、コブのように硬い腫瘍です。
「充実性腫瘍」の80〜90%は悪性の卵巣がんあるいは良性と悪性の境界型と呼ばれるものです。

症状は?

「沈黙の臓器」と呼ばれている卵巣は、腫瘍ができても、小さいうちはほとんど自覚症状がありません。

本来、うずらの卵ほどの大きさである卵巣が、最大で人間の頭大にまでなることがありますが、おおよそ、握りこぶし大ほど(6,7センチ)になると、
下腹部がふくらみ、皮膚の上からしこりを感じたりするようになります。

また、腫瘍が大きくなるにつれて、周囲を圧迫し、その結果、頻尿、腰痛、下腹部痛、月経痛などの症状が現れます。
腹水(おなかに水がたまる)や胸水(肺に水がたまる)などが合併症として出てくる場合もあります。

  ※ ※ ※

卵巣嚢腫は9割が良性ですが、注意すべき病変もあります。

その一つが、茎捻転(けいねんてん)です。
茎捻転とは、卵巣が根元からクルッとねじれてしまうもので、突然、下腹部に激痛が走ります。
ショックで意識不明になることもあれば、吐き気や嘔吐、発熱が生じることもあります。

茎捻転は、激しい運動をしたり、体位を大きく変えたりした拍子に、卵巣が根元でねじれ、卵巣への血流がストップしてしまうことで起きます。
いったん茎捻転が起こると、卵巣が壊死(えし)してしまうので緊急手術が必要になります。

もう1つの病変が破裂です。
なにかの拍子に嚢腫が破れてしまい、内容物が腹腔(ふくくう)内に流れ出し、突然の激しい下腹部痛に襲われます。

なお、子宮内膜症が原因のチョコレート嚢腫と呼ばれる病気でも、ときどき破裂が発生し、やはり、緊急手術が必要になることがあります。

検査は?

問診、内診、触診、膣からの超音波診断、CTスキャン、MRIなどがあります。
これらでも判断が難しい場合は、採血し、腫瘍マーカーを調べます。
そして、100%正確な診断のためには、腫瘍そのものを摘出し、組織検査を行います。

卵巣腫瘍は、通常の婦人科検診で見つけられる病気です。
30歳を過ぎたら、年に1回婦人科検診を受けて下さい。

治療は?

手術療法が基本です。
腫瘍を摘出します。

この場合、悪性の疑いもなく、自覚症状もない場合は、嚢腫が握りこぶし大より大きくなってから、手術が検討されます。
そうでなければ、経過観察をするだけです。
というのも、卵巣嚢腫の場合、数ヶ月でいつのまにか消えてしまうものがあるからです。

いざ手術をする場合、
腫瘍だけを摘出する方法と、腫瘍を卵巣ごとすっかり取り除く方法があります。
年齢が比較的若く、いずれ妊娠を希望している人の場合は、腫瘍だけを取り出す手術をすることがしばしばあります。
この手術は、おなかに1センチ以下の穴を数カ所開けて行う腹腔鏡手術も可能です。

閉経を迎えた女性の場合は、再発やがん化するのを防止する意味でも、卵巣そのもの、あるいは、卵管や子宮を含めて摘出することがあります。
こうして手術で腫瘍を摘出し、念のためにその場で組織検査を行って、もしも悪性であった場合は、さらに摘出する部位を拡大して手術を続行したりすることもあります。
また、悪性であれば、術後に抗がん剤治療を行うこともあります。

なお、卵巣はもともと2つあります。
したがって、1つを摘出しても、もう一方が大丈夫なら、妊娠は可能です。

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